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おしゃぶりは、赤ちゃんが安心できて寝かしつけが少し楽になるのであれば、育児を助けてくれる便利なアイテムのひとつです。大切なのは、「おしゃぶりを使うか、使わないか」ではなく、どんなふうに取り入れ、家族にとって負担が出てきたときにどう卒業していくか。
今回は、おしゃぶりと赤ちゃんのねんねについて、メリットや注意点、卒業のタイミングまで一緒に考えていきましょう。
赤ちゃんには、生まれながらに口に触れたものを吸う「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)」が備わっています。生まれたばかりの赤ちゃんにとって、「吸う」ことは母乳やミルクを飲むために欠かせない大切な反射です。そして赤ちゃんは、おっぱいを飲むときだけでなく、「吸う」という一定の動きを繰り返すことで落ち着くことがあります。
特に月齢の低い赤ちゃんは、まだ手足を思い通りに動かすことが得意ではありません。その一方で、口は生まれた直後からしっかり使うことのできる場所です。
おしゃぶりをくわえて「吸う」という単調な動きを繰り返すことで、眠りに入りやすくなるお子さまもいます。
実は、おしゃぶりにはSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを減らすというメリットがあります。AAP(米国小児科学会)は、安全な睡眠環境に関するガイドラインの中で、お昼寝や夜間の睡眠時におしゃぶりを使用することを、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを下げる方法のひとつとして推奨しています。
ただし、「なぜおしゃぶりによってSIDSのリスクが低下するのか」という詳しい仕組みは、まだ完全には分かっていません。
考えられているものとしては、
・睡眠中の呼吸や自律神経の働きに良い影響を与える可能性
・舌などの位置が変わり、気道が保たれやすくなる可能性
・睡眠中の覚醒反応に何らかの影響を与える可能性
などがあります。
おしゃぶりはあくまでSIDSのリスクを減らす方法の「ひとつ」。仰向けで寝かせる、硬く平らな寝床を使用する、寝床に枕・掛け布団・ぬいぐるみなどを置かない、といった安全な睡眠環境を整えることも併せて行うことが大前提です。
寝るときには、たくさんの刺激を受け取っていた脳が少しずつ休息モードに入っていきます。
そのとき、何かひとつの感覚や一定の動きに集中できると、外から入ってくる情報に気を取られにくくなります。赤ちゃんの場合、おしゃぶりを「吸う」という繰り返しの動作が、そのきっかけになることがあります。寝かしつけの時間が短くなれば、赤ちゃんだけでなく、毎日寝かしつけをしているママやパパにとっても大きな助けになりますね。
指しゃぶりは、「今日から指しゃぶりをやめよう」と思っても、取り上げることはできません。
その点、おしゃぶりなら、「寝るときだけにしよう」「お出かけのときだけにしよう」「そろそろ卒業しよう」と、成長に合わせて使い方を調整できます。
おしゃぶりに頼りっぱなしになるのが不安な方は、あらかじめ使う場面をある程度決めておくことで、頼りすぎを防ぎながら上手に取り入れることができます。
おしゃぶりを使うことでスムーズに眠れるようになる反面、おしゃぶりと「眠ること」の結びつきが強くなりすぎることがあります。寝ている間に何度もおしゃぶりを入れ直す必要が出てきて、夜中の寝かしつけの負担が大きくなったときが、使い方を見直すひとつのタイミングです。
大切なのは、「今日はおしゃぶりなしで寝てみよう!」と試して、泣いたら途中で「やっぱりダメか…」とおしゃぶりをまた渡す、ということを何度も繰り返さないこと。
「泣いたらもらえた」という経験が重なると、いざ卒業しようとしたときに、より強くおしゃぶりを求めることがあります。
生後5か月頃からは、寝るときの習慣や入眠パターンが定着しやすくなってきます。卒業すると決めたときは、できるだけ対応を一貫させながら、おしゃぶり以外の新しい眠り方に慣れていけるようサポートしてあげましょう。生後6か月以降は、スリープトレーニングがおしゃぶりでの寝かしつけ卒業に効果的です。
おしゃぶりを長く使い続けると、歯ならびやかみ合わせに影響が出ることがあります。
日本小児歯科学会では、乳児期の「吸う」こと自体は自然な行動としながらも、離乳が進んで、お口の働きが「吸う」から「噛む」へと変わってくる頃には、おしゃぶりも少しずつ卒業を考える時期になるとしています。特に、2歳を過ぎて奥歯のかみ合わせができた後もおしゃぶりを使い続けると、歯ならびやかみ合わせに影響が出やすくなり、唇の閉じ方や舌の使い方にも影響することがあります。そのため、日本小児歯科学会では、乳歯の奥歯が生えてくる1歳半頃から卒業の準備を始め、2~3歳以降になったらおしゃぶりの使用頻度は少しずつ減らしていくとよいとしています。
「いつまでに卒業したいか」をざっくり考えながら、お子さまの様子やご家庭の状況に合わせて使っていくようにしましょう。歯ならびやかみ合わせが気になる場合は、かかりつけの小児歯科で相談してみてくださいね。
最後に、安全に使うためのポイントを押さえておきましょう。
月齢の小さな赤ちゃんにとって、しっかり母乳やミルクを飲むことはとても大切です。赤ちゃんが泣いているとき、まずは「おなかが空いていないかな?」と確認してみてください。空腹のサインがあるときには、授乳やミルクを優先しましょう。
米国小児科学会では、母乳育児をしている赤ちゃんの場合、母乳育児がしっかり確立してからおしゃぶりを取り入れることを推奨しています。少なくとも生後1か月まで使用しないこと。それ以降は母乳量が十分にあり、赤ちゃんが上手に吸着して飲めていて、体重も順調に増えている、そんな状態になってから取り入れてみましょう。心配な場合は、助産師さんなどに相談しながら取り入れてみてくださいね。
「寝ている間に落ちたら大変だから」と、おしゃぶりをベッドにひもで固定したり、首から下げたりするのはやめましょう。睡眠中の赤ちゃんにひもが絡まると、思わぬ事故につながります。
おしゃぶりホルダーを服につけたまま寝かせたり、ぬいぐるみや毛布などとおしゃぶりをつないだりすることも避けましょう。
そして、眠ったあと自然におしゃぶりが外れた場合は、そのままで大丈夫。起こしてまで入れ直す必要はありません。
「これで寝かせていたら、ずっとやめられなくなるのでは?」と先のことを心配して、今つらい寝かしつけを頑張り続ける必要はありません。今、おしゃぶりを使うことで赤ちゃんが安心できて、ママやパパも少し楽に眠れているのであれば、上手に頼っていいと思います。
今は「これがないと絶対に寝られない」と思っているものも、数か月後には必要なくなっていることがあります。寝かしつけでいちばん大切なのは、方法そのものよりも、赤ちゃんも、ママも、パパも、無理なく眠れていること。
便利なものには上手に頼りながら、親子に合ったねんねの形を見つけていけるといいですね。
参考)
・厚生労働省「令和6年度 ライフステージに応じた歯科口腔保健推進事業 事業報告書」
・米国小児科学会(AAP)「Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2022 Recommendations for Reducing Infant Deaths in the Sleep Environment」
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